魅惑のヴァンパイア
玄関の扉を開くと、冷たい風が一気に入ってきた。


「わっ、寒い!」


思わず身を縮めると、ヴラドのマントの中に包まれた。


体が密着する。


「ヴ、ヴラド?」


「これで寒くないだろう?」


ヴラドがニヤリと笑った。


ヴラドは背が高いので、ヴラドの真横に立つと、私は首を真上に見上げなければいけないし、ヴラドは真下を向かなければいけない。


確かに、寒くはないけど、こんなに体が密着した状態で外に出るなんて……。


「シャオン様、こちらをどうぞ」


後から来たバドが、ふわふわのミンクのコートを手渡した。


「あ、ありがとう!」


膝下まで届くミンクのコートは、羽織るととても暖かいのに、とっても軽かった。


「全く、余計なことを」


ヴラドはバドを睨み付けた。


「申し訳ありません。しかし、その格好で動きますと、大変目立ってしまいます」


「俺はいつでも目立っている」


「さようでございました」
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