魅惑のヴァンパイア
ヴラドはミンクのコートに身を包んだ私を再び見た。


「まぁいい。よく似合ってる」


大きな庭園を歩き、道路に着くと一台の馬車が止まっていた。


「乗れ。中は温かいぞ」


中に入ると、小さな窓が付いていて、そこから景色を食い入るように見つめた。


ヴラドが横に座り、ドアを閉めると、冷気が遮断されて凍えるような寒さは治まった。


「それでは出発いたします」


いつの間にか、バドが前に乗り、馬の手綱を操っていた。


「バドが運転するの?」


「そうだ、バドは何でもできる」


「寒くないの?」


ヴラドは微笑んで、私の頬に冷たい指先をそっと触れた。


「大丈夫、ヴァンパイアは人間と違ってタフだ。これくらい何ともない」


「そう……なんだ」
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