魅惑のヴァンパイア
「彼女に合う服を数十着と、今日着ていくドレスを一着見立ててくれ」


「かしこまりました、ヴラド様」


名前を言ってないのに、ヴラドのことが分かったことに驚いた。


けれどヴラドは当然のように振る舞い、誰よりも堂々としていた。


2、3人の従業員が私の元に駆け寄ってきて、色々な服を持ってきた。


困惑してヴラドの方を振り返ると、「大丈夫だ。何も取って食ったりしないさ」と笑っていた。


「こちらはいかがですか? よくお似合いになると思いますが」


「こちらもとても可愛らしいですよ」


ニコニコと高そうな服ばかり薦めてきて、私は何を選べばいいのかサッパリだった。


「時間がないんだ。普段着はいいからドレスを選んでくれ」


……普段着。


今薦められてたのって、普段着だったんだ……。


普段着にしては豪華すぎる服に驚いていると、今度は色鮮やかなドレスがどんどんやってきた。
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