汚いエッセイ
俺は追い抜かれるまで、前を見てた。無関心なふりをしてた。そして見た。

わかったことは、俺が望んだ人では、なかったってことさ。ちくしょう。どっかのクソババアだった。

俺を月が笑っていた。


それから、俺を何人も追い抜いていった。何人も何人も。


それは、まるで不思議な気分だったよ。


昔、こんな映画を見た。

妻と出逢い、友と出逢い、子と出逢い、たくさんの人と出逢った男がいた。

それらの人々の一切が先に死んでしまうが、不思議な力により男は長生きし、自分だけが取り残された。そんな映画があった。

その映画を見た時の気分。


あるいは、風邪をひき学校を休み、いいともを見てるような時。学校のみんなに、自分だけ遅れているような感覚。


それぞれ、全く関係ないよ。ゆっくり歩くのと、風邪をひくのと、長生きすること。

だけど、繋がるものがあるって思うんだ。

俺はゆっくり歩きながら、風邪をひき、何年間も長生きをしたのだ。
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