汚いエッセイ
俺はゆっくり歩いた。隣の高校の美人が、歩いていった。知らないその美人に、俺は見とれてた。

気がつくと歩調が速くなってた。

自己嫌悪、自己嫌悪。


そうこうしてたら、別れ道。

結局、あの子は来なかった。


俺はわかってた。

俺がゆっくり歩いていたところで、あの子は来ないだろうってね。


そして、わかった。

風邪をひき、学校を休んだ日でも、一度も携帯が鳴らないこともある。

一生を懸けて探し、さまよっても、愛する人と逢えないこともある。


だけど、そうするしか心は救われないんだ。

携帯が鳴るのを期待し、愛する誰かを探さなければならない。

今日の俺が、ゆっくり歩いてかなければならなかったようにね。


いつの間にか、俺は無意識のうちに、ゆっくり歩けるようになってた。
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