汚いエッセイ
かつて俺は、洗濯物を干すことが、これほど面倒に思えたことはない。

これを読んでいる皆さんには、今の俺の惨めな気持ちは想像もつかないだろう。


俺は洗濯物を干しながら、考えずにはいられない。

奴らがこれから合流するだろう。駅前なのか、車で迎えに行くのかなど知るか。

そして何をするのか知らん。買い物するなり、ゲーセン行くなり、どちらかの家に行くなりするだろう。

ただ間違っても、洗濯物などするまい。奴らは絶対に洗濯物などしないんだからな。


洗濯物の代わりに、ひょっとしたらセックスでもするのだろう。



俺がデートを断られたのは仕方ないのかもしれない。相手が嫌なら、無理に誘うのはいけない。

だけど、これから他の男と喜び勇んでデートに行くってことを、振られた俺にご丁寧に知らせなくてもいいだろう。




俺は、洗濯物を干し終わった。
< 96 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop