捕食者の季節
加藤が北川の官舎を訪ねたのは
その日の夜だった
官舎といっても
外見は立派な一戸建てで
田舎らしく駐車は何処にでも出来そうだ
加藤は航空自衛隊の佐官である
公用車と運転手が当然つく立場にある
今日はもちろん私用であるため
自分の車を使用していたが
そもそも彼は日常的に
公用車を使うのは稀だった
北川が以前
『なぜ公用車を使わないのか』
と尋ねた事があった
加藤に言わせると
国産乗用車の足回りというのは
どうしようもなく不愉快なのだと言う
技術士官らしく
サスペンション形式や
ダンパー
サスペンションアームの取付部の剛性
国産乗用車というのは
そういう"機械"としての
正直さに欠けるのだと主張する
―要するに堅苦しいのが嫌なんだろう
変わらない笑顔で
友人の弁を聞きながら
北川はそう思うことにしている
『今夜は車の話はしないでおこう』
苦笑しながら北川は玄関を明けて
数年ぶりに会う親友を迎え入れた
その日の夜だった
官舎といっても
外見は立派な一戸建てで
田舎らしく駐車は何処にでも出来そうだ
加藤は航空自衛隊の佐官である
公用車と運転手が当然つく立場にある
今日はもちろん私用であるため
自分の車を使用していたが
そもそも彼は日常的に
公用車を使うのは稀だった
北川が以前
『なぜ公用車を使わないのか』
と尋ねた事があった
加藤に言わせると
国産乗用車の足回りというのは
どうしようもなく不愉快なのだと言う
技術士官らしく
サスペンション形式や
ダンパー
サスペンションアームの取付部の剛性
国産乗用車というのは
そういう"機械"としての
正直さに欠けるのだと主張する
―要するに堅苦しいのが嫌なんだろう
変わらない笑顔で
友人の弁を聞きながら
北川はそう思うことにしている
『今夜は車の話はしないでおこう』
苦笑しながら北川は玄関を明けて
数年ぶりに会う親友を迎え入れた