捕食者の季節
(1)展開
『歩き回らんっちゅうのは、どうにも性に合わんな』
松下警部補は
一人言をゴチながら
自分でいれたばかりの、茶をすすった
松下は先週まで
所轄内で頻発する
『オレオレ(詐欺)』の専従捜査員であった
何しろ松下警部補は
西浅井署に配属以来ずっと
『知能犯係』
を担当してきた
片田舎だからこそ
老人を狙った
こうした電話による詐欺事件は後を絶たない
したがって四六時中
管内を歩き回り
一人暮らしの老人宅を訪ねるのが日課のようなものだ
さらに
『オレオレ』のような広域犯罪は
オモヤ(県警本部)で
捜査状況の報告会議が、しょっちゅう開かれることもあって
松下は常に走り回っていた
こうして
座って茶を飲むような
我ながら『性に合わない』ことをするハメになったのは
先週から
鑑識係に配属が変わったからだ
随分と松下は抵抗したが
刑事課長である北川が署長にかけあって決まった
らしい
松下警部補は
一人言をゴチながら
自分でいれたばかりの、茶をすすった
松下は先週まで
所轄内で頻発する
『オレオレ(詐欺)』の専従捜査員であった
何しろ松下警部補は
西浅井署に配属以来ずっと
『知能犯係』
を担当してきた
片田舎だからこそ
老人を狙った
こうした電話による詐欺事件は後を絶たない
したがって四六時中
管内を歩き回り
一人暮らしの老人宅を訪ねるのが日課のようなものだ
さらに
『オレオレ』のような広域犯罪は
オモヤ(県警本部)で
捜査状況の報告会議が、しょっちゅう開かれることもあって
松下は常に走り回っていた
こうして
座って茶を飲むような
我ながら『性に合わない』ことをするハメになったのは
先週から
鑑識係に配属が変わったからだ
随分と松下は抵抗したが
刑事課長である北川が署長にかけあって決まった
らしい