捕食者の季節
『ワシには…その…』
次々湧き上がる疑問点を整理しようと
松下警部補が口を開いたが

『分からん』

突き放すように渡辺検視官が呟いた

『ナベさんも分からん?』

『うん、分からん』

『このホトケさん、1週間やろか?』
―死後1週間前後、腐敗の進む具合から松下はそう見ていた


『ん?そやな。そんなとこやろな、もう少し…四日、五日いう感じやが』

―経過日数はともかく
『せやけどなあ、損壊器具の特定は無理やな』


『はあ』

『さっきの彫刻刀の例えはあくまでも例えや、「何らかの刃物により切断」それしか言いようがないわな』

それっきり渡辺検視官は口を閉ざした

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