捕食者の季節
『何か手がかりがありましたか?』

『いやあ…結局のところナベさん(渡辺検視官)と悩んでたんやが…』

―松下がいつもの口元を歪ませる癖を見せながら
タバコを取り出した

収穫がなかったことを自嘲する時の松下の癖だ

『結局のところ、あの損壊を可能にする器具は見当たらんっちゅうことですな』

深夜の警察署には当直以外誰もいない
まして刑事課の刑事部屋に居るのは松下と北川だけである

誰にかまうこともなく
松下は煙草に火をつけようとした時

『これは先日の県警本部から持ち帰ったものです』

北川が机上に五枚のモノクロ写真を広げた

『ほぉ』
火を着けそびれたセブンスターを
灰皿にねじ込んで松下警部補が課長席に近づく

『松下さん、渡辺検視官が撮影した切断部位の画像写真ありますか?』


すかさず松下が使い込まれた刑事部屋の回転椅子に
無造作に置いたファイルを持ち寄る
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