宇宙ネコ
次の日、ボクはココロを連れて研究所にやって来た。

ココロの能力を目の当たりにした三角博士は少し驚き、額に人差し指と親指と薬指をあて、口をすぼめて変なポーズになった。

「うーん…これはこれは」

と、普段とは違う高く苦しそうな声で言うと俯いて、おかしなポーズで動かなくなってしまった。

「ココロをどう思いますか?」

すると、額の手をそのまま手のひらを上に向けるように差出し、ボクとココロをしばらく交互に見て手を差し出していたが、やがて口を開いた。

「これは驚いた…この子は凄いよ」

「えぇ
ボクもそう思います」

「私は人の思考と言うのは…例えるならそうだな
川を水が流れた結果の様なもんだと思っている
人それぞれが違う川を持っているから違う考えが浮かぶんだとね」

「はぁ…」

「だがね、
ココロくんがもし、他人の川を使って答えを導くとしても
流す水が何なのか分からなければ、肝心の答えに行き着く事は出来ない訳だ」

「はい、、」

「と言うことは
ココロくんは導き出した思考を直接読んでいるって事になるんじゃないかとね」

ボクは単純にそう思っていたけど、三角博士ともなるとそこに行き着く理由までが存在している様だ。

「そうなると
人の考えている思考そのものは何かのエネルギーとも思えてくるんだな」

「エネルギーですか」

「そしてココロくんは、そのエネルギーに干渉する事が出来る
そうする為に呼び水の様なものを使うのか
そもそも最初から人の思考は外に漏れていくものなのかまではわからんが…」

何かえらいことになってきたぞ、わき道にそれる事になったら困るな。

「染みだしているとすれば
例えば匂いみたいなものとか…」

『匂いじゃないの!
お話なのよ』

「えっ?そうなの?
せっかく楽しんでたのに」

三角博士は答えに行き着く過程の楽しみをとられてしまった様だ。
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