宇宙ネコ
この異常現象の、不快な振動と音の広がり方は、まるで何者かがこの星の隅々まで念入りに調べているかの様に思えた。
それはボク達が捜し物をする時の動きによく似ている。

ボクはこの現象が自然現象とは思えなかったが、やはり同じ様に感じている人も多いらしく、調査の要望が多いそうだ。

しかし、自然界の事象について調査している国の機関に問い合わしてみても、まだ確かな事は全く解っていないらしい。
過去の自然現象には全く見られない不思議な現象なのだ。

調査の要望が多いため、とうとうボクに調査依頼がやって来た。

そして同時に、一人の人物を紹介された。

その人物とは、あらゆる好奇心の塊の変人だそうだ。
だが、その人物の今の興味の対象はまさにこの奇怪な現象なのだそうだ。

ボクはとにかくその人物を訪ねてみた。

こういう人間は、他人との交流を好まないかと思ったが、全くその様な事はなく歓迎された。

その人物のいる研究施設は、山中の高い塀に囲まれた中にあり、明らかに世界から隔離されている。
その塀の高さからまるで、脱獄不可能な刑務所を思わせたが、この施設の場合は重要な機密情報を扱う可能性がある為だろう。

この施設の人々は外界に滅多に出ることもなくよく平気だとも思うが、好きな研究に没頭出来るからだろうか、生き生きとした表情でよく会話しているのを見かけた。

ボクが紹介された人物は、この施設の代表責任者を任されている「三角楽」と言う名の博士だった。

ボクは三角博士と待ち合わせをしている部屋に入った。


三角博士はボクを見ると、少し前にかがんだ姿勢からひょいと片足を膝の高さまで開いて上げると、両手を左右に軽く開いてポーズをつけた。

戸惑ったボクに彼はこう言った。

「このポーズはどうだね?
理論上だが、最小の労力で最高の効率を得ることの出来る究極の形だよ
後一言、ポーズをとった時に言うフレーズがあれば完成だ」

そう言うと、三角博士は黒板に何かの計算式を書き出した。

それが三角楽との最初の出会いだった。
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