宇宙ネコ
ボク等は、この間行った実験場の中にある、電子ブレイン室にやって来た。
室内には、沢山の艶消しされた黒い箱が規則正しく並んでいて、その並びの美しさと余りの数の多さに圧倒される。
この黒い箱達が、電子ブレインと呼ばれるものなのだろう。
全体を引いて見ると、全ての電子ブレインは少しづつ向きが変えられており、ある方向に向けられて並べられている。

その向きの方向の先には、赤い箱があった。

あの赤い箱が三角博士の言っていた「彼女」なのだろうか?
彼女と呼ばれる電子ブレインが、全ての電子ブレインのリーダーで、最初の電子ブレインだと言っていたな。

すると、いつの間にかココロは赤い箱の前に立っていた。

『はじめましてなのです……さん』

「!?
え…?今何て…!?」

離れているせいでよく聞こえなかったけど、ココロは赤い箱を名前の様なもので呼んでいた様な気がした。

その直後、黒い箱のランプが中央の赤い箱を中心に一斉に瞬きだした。

「わぁ~
何てきれいなんだろう」

そう言いながら三角博士に目をやると、彼は驚きの表情でココロを見ていた。

少し離れた所から、箱達の小さな瞬きの様子を眺めていて、ボクはある事に気が付いた。
その光は1つ1つ見るものじゃないって事だ。

箱達は協力しあって、それぞれに付いているランプの光を使って大きな映像を作り出していた。
それはココロの呼び掛けに応えたかの様に、電子ブレイン達は小さなランプをこぞって光らせ、1つの大きな絵を作り出していた。

「ココロ、ほら見てごらん
ここから全体を見ると絵に見えるよ?」

『ホントだ!
すっごくきれいなの』

その絵は見事に色の濃さまでが表現されていた。
凄いな、電子ブレインってこんな粋な事も出来るんだ。
ボク達が気が付いたからなのか、その絵はゆるやかに動きだし映像に変わって行った。

「三角博士!
箱についているランプで映像が?」

「おぉ…何て事だ…
今まで何故気が付かなかったんだ」

三角博士も気付いていなかったらしく悔しがっていた。
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