宇宙ネコ
三角博士に連れていかれた場所は、敷地内に建てられた大きな工場の様に見える実験場の中にあるそうだ。
その実験場には、身の丈以上の太さの巨大なパイプが大量に束ねられて繋がれており、そのパイプの束の周辺には立ち入り禁止の標識の付いた金網が張られていた。

「三角博士、このパイプは?」

「あぁ、発電所から電気を引いてるんだよ
結構電磁波が出てるからあんまり近づかない方がいいよ」

「電気ですか…
そういえば少し暑いですね」

パイプの方向から熱気が放たれて、ボクの顔を火照らせた。
これだけのパイプの太さで供給される電力って、一体どれほどのものなのだろう。


ボク達は工場の中に入っていった。

工場内には中央に巨大な穴が掘られており、その周りをぐるっと少し色の付いた分厚いガラスで囲んでいる。

「真ん中の穴の中が実験現場だよ
今も稼働中だからこれ以上は近付けなくてすまんね」

思った以上に大規模な実験場だった。
こんなインフラまでが提供されているこの施設は、確かにただの研究所ではないとわかる。
もしかすると、国家規模‥はては世界規模の施設なのかもしれない。

「これは…」

「この実験はね
簡単に言うと2つの物質をすっごく加速させて正面衝突させるものなんだよ
その為の消費電力はあの通り国家規模になってしまうのだが…」

「2つの物をぶつける・・ですか」

やはり全く理解出来ない、ぶつけると一体何が起こるのだろう。
< 6 / 23 >

この作品をシェア

pagetop