大好きだった先輩
第1章
ただの憧れ
「見てみて明里。潤先輩だよ」
春のすがすがしい風を
体全体に受け桜のいい香りとともに襲ってくる
睡魔と戦っていた私に
声を掛けてきたのは
親友である中島笑梨だ。
名前通り笑顔が耐えなく
黒目の多い一重が印象的だ。
「ごめん、何て?聞いてなかった」
「もう明里ってば最近ぼーっとしてること多いよ」
私は春はどうも苦手だ。
桜は好きだが見てると
眠たくなってしまう。
「ほらっあそこ!潤先輩」
笑梨が指差す方を見ると
そこには休み時間にグラウンドでバスケをして汗まみれになっている何人もの先輩。
その中にひときわ目立つ
美男子。一瞬だった。
一目惚れだった。