姫様とウサ耳はえた金髪童顔
顔面に飛びつかれ、ぶふわっ、と悲鳴をあげている内に――
「い、でっ、噛むなクソ猫っ」
頭に登った猫が自分のウサ耳を噛み始めた。
すぐさま手を出し猫の体をわしづかむが、猫もクロスの頭に爪を立てて離れようとしない。ついで余計痛い。
「ミー、ミー」
「ウサ耳なんて敵にゃ。ネコ耳こそが王者なんにゃ」
「っ、姫、悠長に翻訳してないで。いたいいたいいってー!
つうか、なんつう理由でこいつは俺を襲うんですかっ」
「クロス、致し方がないことですよ。ウサ耳とネコ耳はいつだってライバル関係。それはもう、ネコとネズミ、犬と猿、月とスッポン……は違うか。
ともかくも、ウサ耳の者がネコ耳の者に襲われるのは必然なのです」
「好きでウサ耳になっているわけじゃないしっ、こいつなんかネコ耳語る前にまんまネコじゃないですかっ。だー、くそネコ離れろっ」