姫様とウサ耳はえた金髪童顔
(――)
冷たくて、寂しくて、悲しい。
「そうですか。それは何故です?」
大切なモノを無くしてしまった。亡くなったんだ。
「ああ、なるほど。悲しいですね、悲しくて悲しくて、泣いてしまいますね」
取り戻したい。彼らを、私を置いていった彼らを連れ戻したい。
「それはいけませんよ」
なぜ?
「無くしたものならば、また捜せばいい。しかし、亡くしたもの、捜してもいないモノを取り戻してはいけない」
なぜ、どうして?
「亡くしたモノの代わりにあなたは何かを手に入れたはずです。亡くさなきゃ手に入らないもの、亡くしてから気づく大切なモノ。
深い悲しみでも意味ある悲しみだ。持っていて痛むけど、痛むだけその亡くしたモノはあなたにとって大切だったということ。
それを亡くしてしまったからといって生きている“こちら”がまた連れてきてはいけませんよ。
そんなことをすれば、そのモノの価値(大切さ)が下がる。壊れた玩具、また直せばいいやとまた壊す。繰り返し、ボロボロになってもまた直るからとボロボロに。あなたが望むことはまさにそれだ」