姫様とウサ耳はえた金髪童顔
彼らの願いが叶う場所。
(Ⅵ)
クロスは飛び起きた。
「あれ……」
なんだが、なんで俺飛び起きたんだと首を傾げる金髪童顔。
考えようとして、後頭部に痛みが走った。
いってー、と頭をさすったわけだが。
「……あれ」
たんこぶも何もないと手の触感で知ったなり、痛まなくなった。
どうやら寝ぼけているらしいなと、自室のベッドの上で彼は伸びをした。
窓から入る光が眩しい。晴天なんだなぁ、と感じて窓から外を見る。
見慣れた景色。
姫が統治する国から少し丘高い場所にある屋敷は、緑に囲まれている。むき出しの地面なんかなく、緑の絨毯がさわさわと風に揺れていた。
平和だなぁ、とのんびり考えて。
「げ、一時」
壁に吊した時計で、気分が一変した。