姫様とウサ耳はえた金髪童顔


手触りはぬいぐるみみたくさわさわで、長ひょろかった。


それが二つ。


頭についているそれを取ろうにも、髪束をぬかれる並みの痛みがあるだけで取れない。


「っ……うそだろ、うそだろ、うそだろ」


尋常じゃない汗は焦りから。


彼は立ち上がり、また走った。


今度はそれが枝に引っかからないように手で押さえて。


目の上端にある白い異物。認めたくないと彼は走って――唐突に止まった。


泉があった。
小さな水たまりめいた泉。見つけるや否や彼はその泉に向かい覗きこむ。



確かめたかった。
この異物がなんであるかと。


泉に映ったのはコンプレックスである見覚えある童顔と、金髪の頭。


――そうして。


< 5 / 270 >

この作品をシェア

pagetop