7kiss 【短編集】
4月
3年生に進級してクラス替えがあり、あたしは篤斗と同じクラスになった。
あたしと篤斗は出席番号の関係で、席が隣になった。
最初は無愛想で、何だか恐かった。
話すこともなく、あたしはただただ、次の席替えを待つばかりだった。
そんなある日。
「教科書忘れちったから見してくんね?」
初めてちゃんと聞いた篤斗の声。
低くて通る、色気のある声。
あたしはドキっとした。
「う、うん」
どーも、と言う篤斗にあたしは顔を向けられなかった。
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