7kiss 【短編集】





4月



3年生に進級してクラス替えがあり、あたしは篤斗と同じクラスになった。



あたしと篤斗は出席番号の関係で、席が隣になった。



最初は無愛想で、何だか恐かった。



話すこともなく、あたしはただただ、次の席替えを待つばかりだった。



そんなある日。



「教科書忘れちったから見してくんね?」



初めてちゃんと聞いた篤斗の声。



低くて通る、色気のある声。



あたしはドキっとした。



「う、うん」



どーも、と言う篤斗にあたしは顔を向けられなかった。




#
< 3 / 61 >

この作品をシェア

pagetop