7kiss 【短編集】





よりによって今日この日に、このページが当たって篤斗に見られるなんて…と思っていた。



あたしは俯いて笑いをこらえている篤斗に、気にしないでと言おうとした。



その瞬間、篤斗は顔を上げた。



「まじ最っ高!」



そう言った篤斗の顔は、呆れてるわけでも、苦笑しているわけでもなく、笑っていた。



初めて見た篤斗の笑顔。



やばかった。



ドキっが、ドキドキに変わり、恋に変わった瞬間だった。



この恋は小5の時に、元気くんにした恋とは大きさも強さも違った。



それからあたしは、篤斗の笑った顔が見たくて絵をたくさん書いた。



あたしの長所で篤斗が笑ってくれる。



それがたまらなく嬉しかった。



そして笑った顔を見るたびに、篤斗をもっと好きになった。



いつしかあたしたちは、お互いのことを名前で呼ぶ関係になった。



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