弓狩り-ユミガリ-

「風間、今がどういう時期なのか分かってるのか?」


静かだが梓の表情は凄い剣幕で、道場の空気も張り詰めていた。

次の県大会まで残り一ヶ月を切っている時期だ、梓が怒るのも無理はない。


「すみません…俺の不注意でした」


「当たり前だ、大した怪我じゃなかったからいいが、もう少し周りを見ることだ」


「まぁ、圭もちゃんと反省してるみたいだし、ここら辺で良いんじゃない梓…」


圭の頭を軽く叩きながら隼人が二人の間に入った。

何も考えて無いように見えて、多分一番周りを見てるのは隼人かもしれない。


「分かった…圭、"怪我のせいで実力を出せなかった"とは言わせない、早く治して調子を整えておけ」


梓が圭の肩を叩いて師範室へ向かって行った。


「はい、ありがとうございました」


圭も一礼すると始めより落ち着いた表情に戻っていた。

周りの部員たちも各々自分の準備に戻り、練習が再開された。




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