弓狩り-ユミガリ-
エントランスで受付の看護婦さんに二人の病室を聞くと、秋月君は面会謝絶で汐見君の病室を教えてくれた。
「面会謝絶って…」
汐見君の病室に行くまでの間、私は不安を隠せずに目を伏せたままエレベーターの壁に凭れた。
「とにかく、今は状況を知る必要があるな…」
冷静に言うと梓は腕を組んで眉間に皺を寄せた。
………………
誰もが口を閉ざしたままの何とも言えない雰囲気が漂う中で、エレベーターは22階まで私たちを運んだ。
汐見君は個室の様で、部屋の前に着くと隼人がプレートを確認してノックする。
「どうぞ…」
「よぉ悠哉、大丈夫か?」
病室に入ると圭が話しかけて傍に寄って行った。
続いて私たちも中に入り椅子に腰掛けた。
「ああ、俺は平気…けど柊が……」
目を伏せたまま汐見君は静かに言うと梓の方を見た。
「まだ辛いとは思うが、話してくれるか…?」
梓は立ったまま腕を組むと汐見君を見て壁に凭れた。
汐見君は黙って頷き事の詳細を静かに話し出した。
.