弓狩り-ユミガリ-

「樋山、ちょっといいか?」


「な、何梓…?」


私はなるべく普段通りに聞き返したが、梓は何も言わずに私を見つめている。


(え~っと…私何かやらかしたっけ?;)


「いきなりで悪いが、付き合って欲しいんだ…/」


「はぃ……?」


思いもよらなかった言葉に目を丸くする。

いつもなら"人の顔見てる暇があるならさっさと準備しろ"とか怒られる所なんだけど…;


「え~っと、付き合うって?/」


「実は弓具店に新しい弓が入ったみたいで、買い出しのついでに見ておきたいんだ/」


目を輝かせながら私を見る梓……。


「あぁ、そういう事なら良いけど…;」


そう答えると梓は嬉しそうに戻って行った。


焦っていた自分が馬鹿らしくて"あはは…"と苦笑する……。

そう、この霧嶋梓は何より弓道が好きな“弓道馬鹿”なのだ。




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