弓狩り-ユミガリ-
「ははは…梓、ただでさえ怖い顔なのに、今じゃ迫力満点だよ…」
眉間にシワを寄せる梓を見て、笑いながら隼人がからかう。
「な…うるさい、この顔は生まれつきだっ!!」
そう言って怒る梓に、私と圭も思わず吹いてしまった。
「くく…先輩、眉間動かすの反則ですよ…」
「はぁ…梓、面白過ぎ…」
「お前等!!」
「「「あははは…」」」
怒る度にピクピクと眉間を動かす梓に三人とも笑いを堪えられなかった。
一方の梓は不快感を示しながらもさっきまでシワを寄せていた眉間を手で押さえている。
(もしかして隼人、空気が重かったからわざと笑わせてくれたのかな…)
ふと笑っている隼人を見ると目が合って、少しだけ微笑んだ様に見えた。
(あんな事もあったし、今だけはこのままでもいいかな)
久しぶりに皆と笑っていると、さっきまでの不安が少し落ち着いた気がした。
ガラス張りのエレベーターから外を眺めると、夕日が奇妙な位に空を赤く空を染めていた。
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