弓狩り-ユミガリ-
『解散』
と梓が言うと、私たちは各々師範室を後にした。
─これからは何が起こるか分からない─
梓の言葉が頭の中で反響する。
もしかしたら、また部の誰かが傷付くかもしれない…弥琴や圭、それに梓や隼人だって例外じゃない。
「大丈夫…」
「っ、…隼人」
気が付くと隼人が隣で微笑んでいた。
「俺等がちゃんと守るから…部の皆も、蓮の事もね」
不安を感じさせない隼人の表情に少しだけ落ち着いた。
「ごめん隼人、今は沈んでる場合じゃないよね」
しっかりしなきゃ、と息を付くと不意に肩を叩かれた。
「頑張るのも良いが、無理は禁物だ」
振り向くと梓がいて、心配してくれている事に感謝した。
「うん…二人共ありがとう」
元気が出てきて笑いながら二人に言うと、梓は"別に…"と少し照れながら自分の準備をしに行き、隼人は"今の表情、もう一回してくれない?"と携帯を取り出していたので、"携帯、折るよ?"と黒い笑みを向けた。
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