弓狩り-ユミガリ-

「当たり前だ、それに去年の国体推薦だって断ることは無かっただろう…」


「……」


梓の言葉に私は苦笑する。
去年の春、梓同様に新人戦で個人優勝した私にも国体からの強化選手推薦が来ていたのだが私はそれを断った。


「私は別に競いたい訳じゃないし、国体なんて大それた所じゃ落ち着いて弓も引けないよ」


「けど、蓮なら絶対に国体目指すべきなのにな」


と隼人までも梓に参賛同する。


「お前程の実力があれば「良いんだって」だが…」


私は足早にその場を後にした。


「宝の持ち腐れだな……」


「やっぱり蓮まだ引きずってるのかな去年のアレ…」


樋山蓮(ひやま れん)
霙蔆高校弓道部の女子副部長、芯のしっかりした意志の強い奴で見た目は可愛いと言うよりは凛としている。

祖父の影響で物心付いた時には弓を握っていおり、中学でも実力を伸ばし大会では的中だけでなく射の美しさで周りの目を奪っていた。

(アレを初めて見た時は俺も触発されたけどな)


(そして俺は蓮に一目惚れv)




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