弓狩り-ユミガリ-

矢を取りに行くと、そこには既に後輩たちがいて矢を抜いた後だった。


「樋山先輩、どうぞ」


「ごめんね、抜いてくれてありがとう♪」


後輩から矢を受け取ると一緒に射場に歩き出す。


「樋山先輩の射、本当にキレーっすよね」


「私も蓮先輩みたいになりたいです」


口々に後輩が言うとつい苦笑してしまう。


「私なんかより梓の方が凄いよ、気迫だって隼人の方が上だし」


「そんなことないですよ、俺…蓮先輩が憧れですから」


圭が笑顔で私を見上げた。
長い睫毛で大きな目の圭、その真っ直ぐな目に思わず笑ってしまう。


(全く可愛いな…圭は)


その後は後輩を教えたり、梓に射を見て貰ったりして今日の部活もあっという間に終わってしまった。


『礼』


“お疲れ様でした”


帰りの道でも思い出すのは部活での楽しい事ばかりで同じ部の親友である弥琴とはいつもその話で持ちきりになる。


「じゃあまたね♪」


「うん、また明日…♪」


いつものように終わる一日、また明日もこんな楽しい日になると私は思っていた…。




< 8 / 32 >

この作品をシェア

pagetop