多幸症―EUPHORIA―
Case.2 幸せを探しに。
――幸せって、何処にあるんだろう。



 放課後の屋上。
 あたしは待ち人が来るのを待ちながら、ベンチで横になっていた。
 夢と現実の間で彷徨うあたしの目の前には、風花が舞っていた。
『綺麗……』
 思わず手を翳してみる。
そういえば、あの日も風花が舞っていた。クラスメイトの女の子が廊下で雪だってキャーキャー騒いでたっけ。
 この時期になると、必ず思い出す人が居る。

――二年前。

 あたしが高校一年生の秋。
 屋上の存在を知り、頻繁に通い始めた頃だった。

『あれ、梨依ちゃん?』

 あたしはその日、生徒会の資料作りが間に合わずに屋上で必死になっていた。授業をさぼってまで生徒会の仕事って、なんだかおかしいけれど。そんな時、話しかけられたのが彼女だった。

『サボタージュ?もしや』

 彼女は半ば楽しげにあたしを覗き込んだ。

『えっ、生徒会長?』

 才色兼備とは、彼女のことだとしみじみ思う。見とれてしまう程に整った容姿に学年トップの秀才。加えて、生徒会長としての人望も厚い。
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