多幸症―EUPHORIA―
どうして、語尾が疑問形なんだろ。あたしに同意を求められても困る。

『ところで、先輩はこんな所で何してるんですか?』

 あたしは半ば、いじけ気味に先輩を見上げて言った。

『んー…?幸せを探しに』

『幸せって探すものなんですか?青い鳥みたいですね』

 屋上に幸せが転がっていたなんて初耳だ。
 そんなことを思いながら、あたしがそう言うが早いか、先輩は屋上のフェンスを上り始めた。

『ちょっと…先輩?!何してるんですかっ』

『だから、幸せを探しに。こっちの世界にはないみたいだし』

『ちょっと早まんないでくださいっ!!』

あたしは半泣きでパニック状態。

『いま出来ることは、いますぐやりなさいって教わったでしょ?』

 先輩はフェンスごしにあたしの眼を真っ直ぐ見据えて言った。何処か楽しげに――。

『そういうことじゃないと思います!!死んじゃったら、これから何も出来ないじゃないですかっ』

『して……どうするの?どうせ死ぬのに、必死で友達に愛想わらいして、勉強して良い学校入って、何の意味があるのかなぁ』
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