多幸症―EUPHORIA―
 風花が乱れる校庭で、先輩は発見された。遺書は無く、突然の悲劇だった。

 先輩を慕っていた人はみんな泣いた。涙で悲しみが浄化するなら、いくらでも泣きたいくらいに、枯れる程に泣いた。

 先輩の死んだ理由を知ってるのは、多分あたしだけ。
あたしと先輩だけの永遠の秘密。



――先輩、
 そっちで幸せは見つかりましたか。

 こんなに、先輩を思って泣いている声が聞こえますか。
 先輩の幸せは本当は、こんな近くにあったんじゃないでしょうか。

 それとも――先輩は何を求めていたんですか。

 きっと、大切なものは、ずっと近くにあるけど、眼に見えない所に大切に隠されてるんです。だから、見つけられた時、すごくうれしい気持ちになるんだと思います。
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