王子様と幼馴染
「ちょ、ちょっと、李音!?」
景色が自動的に早送りで進む。
違う、私が走っている
いや 走らされているから、早送りで進むのか。
目の前の彼の背中を見つめ、
突然の出来事に驚きながらも、私の目線は徐々に繋がれた手へと向く。
あぁ、李音の手は大きくて、あったかいね。
そんな李音の手が、李音が、大好き
けど私の想いが通じることは多分ないんでしょうね。
切羽詰った状況だと思われるのに、私はそんなことを思った。