王子様と幼馴染
04
モノなんかじゃない!
「はぁ…、」
「…行ったっぽいな」
少し走った後、人気(ひとけ)の少ないところで彼が止まった。
途端、汗が噴き出し、酸素をもとめて胸が上下する。
走っている最中は気がつかなかったけど、
実はけっこう息が上がっていたみたい。
そりゃそうか、現役バスケ部レギュラーと、茶華道部の私は全然体力が違う。
現に、彼から疲れている表情はちらりとも伺えない。
でも…代わりに眉間に皴をよせて、険しい表情をしていた。
「…、李音?」
息をつきながら、彼に声をかけると、
はっとしたようにこちらに振り向かれる。