王子様と幼馴染
「わり。突然走らせて。」
「いや、別に、びっくりしたけど・・。
何かあった?」
「あった…けど、」
そのまま李音はあごに手を当てたまま、黙ってしまった。
…多分考え中なのだろう。
その“何か”を私に言っていいか、否か。
俯くと、彼と私の繋がれた手が目に入った。
あぁ、そういえば手を繋いだままだったね。
ずっとこのままでいたい反面、離して欲しい気もする。
だって、私の鼓動が、熱が、彼に伝わってしまいそうだから。