王子様と幼馴染


 
「…つらかったら言ってね」
力になれるかわからないけど。
そう言うのがやっとだった。

私が怒ることではないのはわかってる。
だけどなんだかすごく、悔しかった。
 
「さんきゅ」
そう言って、私の頭に手をのせた李音の声は、少し暗い。

 
「まぁそんなことで、
もしかしてお前にも被害が及んじまうかもしんねぇ。
…悪ィ。」

「ううん。
大丈夫、全然。

李音が私をからかうときの毒舌に比べたらそんなの余裕だし?」

「なんじゃそりゃ!失礼だな、お前」
 

そのままぐりぐりと私の頭を押しつぶしてきた李音の顔が、さっきより少しつらそうじゃなくなったので、ほっとした。



 
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