無愛な恋人
「ありがとうございますっ」

わたしは差し出された漫画を受け取ると、翔一先生と手を重ねた。

温かくて、大きくて…。


男性らしい手ってかんじ。





「真琴ちゃんって、何歳なの?」

「へ?……えっと、16ですけど……」


翔一先生は手を重ねたまま、笑顔で話す。

カッコイイし、綺麗に笑えてるけど…。


なんか、営業スマイルっぽい。





「じゃあ、高校生なんだ?学校はいいの?」

あ、そっか。
今日は平日だから、心配してくれてるのか。






「大丈夫です。わたし、学校いってないんで!」

「通ってないの?」



わたしの言葉に、驚く翔一先生。

ま、当たり前だよね。





「ちょっと、時間過ぎてますよ!」


翔一先生の隣にいた係員が、怒り気味に言う。

そういえば、とっくに20秒は過ぎていた。





けど、翔一先生はまだ手を離してくれないんだけど…。



「ふふ、ついしゃべりすぎちゃたね。…真琴ちゃん、可愛かったから」

「ふへっ?!」



か、かか、可愛いって!

自分でもわかるくらいに顔が熱い。



やばい!
かっこよすぎだからぁっ!




「えっ、きゃあっ」


ガシャンッ…


「…っ、あっぶねぇ」
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