兎
「………架鶴帆?」
灯りがすぐそこまで近づいている。
「…もぉ行かなきゃ」
俺の横をすり抜けて歩いていく。
何かがおかしい。
胸騒ぎがする。
灯りはすぐそこ。
「…!!」
「……架鶴帆!!」
桜の樹が炎の灯りに赤く照らされる。
「里の人間か」
振り返ると…………
「!?…………何を」
手枷をはめられる架鶴帆の姿。
里を出るんじゃなかったのか?
架鶴帆が振り向き唇が動く。
『ありがとう』
『ばいばい』
微笑。