兎
「………」
瞼に手のひらが重なる。
過る記憶
あぁ……前もこんな光景だったな
全てがスローモーションのようにゆっくりと過ぎる。
「焔よ 燃ゆるごとき紅の龍よ 智を授けよ 力を示せ………」
交差する火の玉。
段々と列を成し蛇のように空中をうねっている。
ゴゥ!!
と強い風が吹き………少女の背丈より数倍大きい紅い龍が現れた。
「………貴方の気持ちもわかります。さぞ辛かったことでしょう」
「…っ!?」
龍が少女に絡みつく。
「500年、貴方に時間をあげます。」
龍の目が鋭く光り………視線が合った。
「それを長いととるか、短いととるかは貴方次第。」
「貴方が手にかけた魂が転生するまで…………」