兎
髪に何かが触れハッと顔をあげると目の前にいた人物がビクッと肩を震わせた。
「綺麗な色の髪ね」
ぼそっと呟かれたような小さい声。
上から覗きこまれていて逆光で顔が見えない。
「……………。」
「どうしたの?そんな顔して」
「お前……俺が見えるのか?」
「……………は?」
「いや、………何でもない………」
やっと目が冴えてきて相手の顔を確認する………
「…………か、架鶴帆?」
「えっ?」
目の前に架鶴帆がいる。
「なん……で」
500年前に死んだ架鶴帆が、
目の前に昔と何一つ変わらない姿で。
そっと髪を掴む手に触れる。
「えっ!?あのっ……!?」
『こらー!!吟珥!!』
名前を呼ばれハッと我に返る。