「……桜?」

冷たい手のひらが額におかれる感覚で目を開けた。


「…………ママ…?」

「体調悪いの?うなされてたけど」

心配そうな顔で覗き込んでくる。
窓の外を見ると既に陽は落ち月が空に登っていた。

「ん……大丈夫」

目を擦りながら起き上がると背中に手が回され支えてくれる。

「ありがとう」




それからご飯を食べお風呂に浸かっている。


「なんか疲れた」

変な夢をみた気がするけどあまり思い出せない。


『架鶴帆』

確か夢の中でそう呼ばれていた気がする。


「………………?」


目をとじてブクブクと湯船に頭まで沈める。

そういえば昼間の男の人も私のことを架鶴帆って呼んでた。

息を最後まで吐き出すと同時にゆっくりと顔を出した。



「……架鶴帆って誰よ」




< 48 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop