兎
赤い瞳の呪い
「はぁ〜……」
膝に乗る兎を撫でながら桜の樹にもたれ掛かり月を見上げる。
「綺麗な赤い目……か………こんなもの綺麗でもなんでもない……」
そっと目をとじる。
『吟珥、あなたは罪を犯しました。』
紅い瞳の小さな少女。
自分の瞼に重ねられる小さな手。
『まっ待ってくれ!!俺はー……!!』
『罪は……償わなければなりません』
途端に、鉄を焼いた物を押し付けられたかのような熱さが両目を襲う。
『う…あ"ぁ…あ…』
焼ける!!
目が!!
熱い!!
熱い!!!!
『吟珥…あなたは己の怒りに負け人を殺めた。こんな痛みなんてその痛みには到底及びません』
『ひ……姫…様』
『忘れてはなりません』
声が遠くなっていく。
『あなたは天狼…』
辺りは闇。
『神に等しき存在が人界に干渉してはなりません』