もてまん
「そうですね……
婆ちゃん、ちゃんとカードケースにカードをしまってて、時々大事そうに見せてくれたな。
そして、月に一度位、母さんも一緒に行った。
母さんと一緒の時は、母さんの手作りクッキーかマドレーヌがお土産で、それも婆ちゃん美味しそうに食べてたな」
「お父様は?」
「父さんはその頃仕事が忙しくて、殆んど一緒に行けなかった。
母さんは、実験が始まると休めないのよって、わかった風に言ってたけど、婆ちゃんは寂しそうだった。
きっと、父さんも一緒に行ってたら、あんなに寝込むほど堪えることもなかったのにね。
僕は婆ちゃんといっぱい楽しい想い出あるから、婆ちゃんが死んだ時もあんまり悲しくなかった。
それより、時々苦しそうにして薬を飲んでたから、天国で楽になったかな、なんて子供心に思ったりしてさ。
それに、なんか変な感じだけど、死んでも婆ちゃんが側にいるような感じがしてた」
「わかるよ、その感じ」