もてまん
(俺?)
繁徳は驚きを隠せない。
「千鶴子さん、なんか、これ、俺にちょっと似てませんか?」
「そうだね、ちょっと似てるかね」
「これが、素質があるってことですか?」
「それだけじゃないがね。
ひとつではあるね。
でも、他人の空似ってのがそれほど偶然にある訳でもないだろうから、大きなひとつではあるね」
「なぁんだ」
「なんだい、がっかりしたのかい」
「俺、見た目、そんなにかっこ良くないし、繁さんに似てるって言われても嬉しくないっす」
「そんなこたぁないよ。
あんたも結構いけてるよ。
それにね、あんたの最大の長所はね、〈物怖じしない人懐っこさ〉さ、わかるかい?」
「まぁ、人見知りはしないほうですけど」
「ジョセフィーヌもあたしもね、繁さんの物怖じしない人懐っこさにすっかりやられていたのさ。
なんか、すうっとあたし達の中に入ってきて、ほんわか暖かくそこにいるって感じかね。
あんたは、顔だけじゃなくて、そういう雰囲気も繁さんに良く似てる」