もてまん
「牛乳がないと、食べられないお菓子ですね」
繁徳は、一息つくとそう呟いた。
「そうかい、この甘さがチョコ好きにはたまらないのさ」
「でも、美味しいです」
繁徳は、ケーキを一口、牛乳を二口の割りで交互に口に運んだ。
(そうだな、案外いける)
それは、癖になる甘さだった。
繁徳がそんなどうでもいいことに気をとられていると、
「で、聞きたいことって何だい?」
千鶴子の問いかけに、繁徳は今日は目的があってここを訪れたことを思い出す。
「千鶴子さん、知ってたんですか?
僕が、繁さんの甥の子供だって」
繁徳は、身じまいを正し、千鶴子に向かってそう尋ねた。