もてまん
六時半ちょっと前。
気落ちした繁徳の前に、甘い香りを漂わせ、スラリとした人影が立った。
素足に白いサンダル、黒地に小さな白い水玉模様の膝上丈のノースリーブのワンピース、その上から白い薄い透けるようなカーディガンを羽織っている。
髪は下ろして、いつもと違う横分けだ。
片方の耳に髪をかけて、耳元には小さな揺れる星型のイヤリング。
「待った?」
なんか、大人びた舞の格好に、繁徳はしばし言葉を失った。
「舞?」
「うん。
そんなに待った?
わたし、時間ぴったしって思ったんだけどな」
「いや、なんか、昼間と違うから」
「ふふ、ちょっと大人っぽいでしょ。お化粧もちょっとね」
そう言えば、口元が艶っぽい。