もてまん
送り狼
「千鶴子さんて、素敵な人だね」
駅までの大通りを歩きながら、舞が呟いた。
(そうだな、あんまりいない逸材だよな、あのキャラは)
心の中でそうつぶやくも、繁徳は無言で歩く。
「シゲがホントに繁さんの生まれ変わりなら、あたし、千鶴子さんに悪いな」
「何言ってんだよ、本人に自覚がないのに、やめろよ」
思いがけない言葉に、繁徳は慌てて否定した。
「でも、シゲと繁さんて、血がつながってるんでしょ」
「お前、なに千鶴子さんから聞いてんだよ」
「ふふ、色々ね」
(色々って何だよ?)
千鶴子が舞に何をどこまで話したのか、繁徳は気になった。
(フランシスの話も聞いたのかな?)
舞と自分が彼女の思い出話を共有しているのかと思うと、繁徳は急に気恥ずかしくなった。