もてまん
「舞、好きだよ」
繁徳は自分でも信じられない言葉を発して、舞の唇に自分の唇を重ねた。
舞の口元からは、甘い、アイスの香りが仄かに香る。
支えた舞の身体が、小さく震えた。
突然、ふっと力が抜けたように、舞が繁徳の方へと重く倒れかかってきた。
舞の体温が、薄い服地を通して伝わる。
繁徳は必死に、舞の身体を受け止めていた。
傍から見たら、なんと不安定な格好だろう。
「シゲ、大好き!」
そう叫ぶと、舞がありったけの力で繁徳にしがみつく。
繁徳はとうとう耐え切れず、体勢を崩してベンチに倒れこんだ。
「舞……」
繁徳は、やっとのとこで地面に落ちそうになる二人の身体を支え、舞を抱き起こす。
覗き込んだ舞の瞳は、涙でいっぱいだった。