もてまん



「……ごめん」



咄嗟に、謝罪の言葉が口をついて出た。


「なんで謝るの?」

「だって、舞、泣いてるから……」

「あたし、嬉しくって、涙でちゃった」


舞が泣きながら笑った。

繁徳はこらえ切れず、笑う舞の口をふさぐように、もう一度キスをした。

舞の口から、甘い吐息が漏れる。

舞が繁徳の唇を覆うように、優しく自分の唇を合わせてくる。


(嗚呼……体が熱い)


繁徳は舞の頬をそおっと両手ではさむと、舞の唇を自分から引き離した。

舞の涙でうるんだ瞳が、じっと繁徳を見つめている。
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