もてまん
(そりゃ、ムリだろ……)
いつも、舞の後ろには、女子軍が控えて眺めていた。
気弱な繁徳に、自分から声を掛けたり、親しく話し込んだりできる訳がなかった。
「それにしたって、俺もあの日、入口でお前に出くわした時は、びっくりしたよ。
すごい剣幕だったしな」
「へへ、今思い出しても恥ずかしいよ……」
舞が少しだけ視線を泳がせ、小さく笑った。
「で、つまりね、あたしはシゲにバージン捧げる覚悟できてるってこと」
(は?)
「お前、バージンなのかよ?」
「あれ、信じない?
あたしだって、バージン失う機会がなかった訳じゃないけどさ、中学の時も付き合ってた男子いたし。
でも、なんか求められると逃げ腰になるっていうか、まあ、それほど好きじゃなかったのよ。
で、高校入ったら、シゲ一筋でしょ。
一年の終わり頃からかな、シゲのこと気になりだしたの……
それで、今に至るって訳。
納得?」
「納得って、別に疑ってるわけじゃないよ」
繁徳は舞に真っ直ぐに見つめられ、その全てを受け止めていいものかどうか迷っていた。