もてまん

「信じられないかもしれないけど、本当なの。

あたしのママは、見かけも綺麗で、何でもできて、ほら、お料理も上手だし、普通以上だと思うの。

でも、ママは何一つ、自分に満足してないんじゃないかな。

綺麗な人は他にも一杯いるし、お料理だって上手って程度、何一つ誇れるものがないって思ってる。

だから目の前のあたしが、運動会で一等とったり、受験で一流校に合格したり、ピアノの才能を認められたり、っていうのが我慢ならないんだと思うの」


「だったら、自分で満足できるまで頑張ればいいんじゃないか。

舞は舞だろ。

自分の娘の成功や努力を踏みにじるなんて、おかしいと思うな」


「そうだよね。

でも、ママはあたしと自分を切り離して考えられないんだと思う。

だから、ママはあたしが今何を考えて、何をしてるかいつも目を光らせて見張ってる。

ママにしてみれば、あたしが正しい道を踏み外してないか気を配ってるって感じなのかもね」


舞の言葉には、少なからず諦めが感じられた。

それが、どうにも繁徳には納得がいかない。
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